AX

収斂(astringency)を介して導き出される「超越的英知」(transcendental wisdom)

2017-09-07

「収斂」(astringency)とは、様々な学問分野で使われる概念ですが、通常、「多くのものが、一つにまとまる」という意味で使われる概念です。経験に乏しい世代においては、人は、一度に、あるいは、同時期に、たくさんのことに手を出します。無論、経験は大切ですが、「欲」(greed)を出してたくさんのことに手を出すと、結局、すべてが中途半端となり、何ら、自分のものになることはありません。

勉強で言えば、知識を身に付けようと、あれもこれもと手を出す人は、結局、すべてが薄っぺらい知識の断片となり、何ら、習得することはできない、という皮肉な結果を招きます。

人生で言えば、通常人が備える能力ではなく、通常人にはない「特別な(特殊な)能力」を身に付けるには、普通の人々と同じような方法(典型)で勉強するだけでは、自分が望むような「特別な能力」が身に付くことはないでしょう。

この世の中に、”タダ”で手に入るものはありません。何かを身に付けるのは、必ず、代償(price)が必要となります。英語では、Nothing is free in this human society. If you wish to get something important, you’ve got to pay the price for it.・・・これは即ち、「人間社会においてタダというものはない。もし、あなたが、あなたにとって何らかの重要なものを手に入れたいならば、それ相当の対価(代償)を払わなければならない」という意味を成します。

対価(代償)の意味は、固定観念の中に生きている人には、それを理解することは難しいでしょう。例えば、「特別な能力を養いたい。でも、普通の人が持っている普通の幸せも欲しい」という願望は、一般社会では、良く耳にする願望です。しかし、この願望は、通常は、叶わない願望です。特別な能力を養いたいにもかかわらず、普通の人々と同じような着想・発想の下で勉強しているのでは、残念ですが、いつまでたっても「普通」の枠組みから出ることはできません。

「特別な能力」を養いたいならば、”極めて特別な方法”で、「限界の限界」まで自分を追い込んで勉強しないと、自分が望むような「特別な能力」を養うことは不可能です。海外でも日本でも、自己実現ができる人の共通点は、「事物における対価・代償の意味」について達観している人です。これをわかりやすく述べると、対価とは、自分にとって本当に必要なことを行うために、「不必要と思われる雑多なことに手を出さない」ということです。

表現を換えると、賢者は、「一つに絞る」重要性を達観しているということです。勇気を持って一つに絞ると、実は、やがて、一つだけでなく、たくさんのものが手に入ります。収斂の概念に潜んでいる英知は、「的を一つに絞ると、やがて、多くを得る」という、特定の文明・文化を超越した英知であると言えるでしょう。

「特定の文明・文化を超越した英知」、・・・わたくし生井利幸は、自らの啓蒙活動、及び、教育活動において、この概念を、”抽象的概念として”、「超越的英知」(transcendental wisdom)と定義しています(具体的概念としての「超越的英知」については、他の妥当な機会において関係記述を掲載する予定です)。

生井利幸事務所 〒104-0061 東京都中央区銀座3-14-2 第一はなぶさビル5F
Copyright© 2003-2024, Toshiyuki Namai All Rights Reserved.